声明:石原知事の個人的感情が東京都の人権施策を歪めないことを望む

2011年1月18日

東京都知事 石原慎太郎 様

石原知事の個人的感情が東京都の人権施策を歪めないことを望む。



人権白書Tokyo実行委員会
会長 八柳卓史


昨年の人権週間中に、石原慎太郎東京都知事(以下「石原知事」という)は、東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「都青少年条例」という)の改正にからみ、テレビに同性愛者が出演していることをとらえ、「野放図」と発言し、更に関連した発言の中で、同性愛者は、「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。」などと発言したことが報じられています。

これらの発言は、都青少年条例の議論とは無関係な発言であるとともに、東京都が人権施策において、性的指向による差別の解消を目指していることからもかけ離れた発言です。

石原知事は、これまでにも、様々なマイノリティの存在と尊厳に対して配慮を欠いた発言を繰り返しています。東京都が人権施策推進指針において、重要課題として取り上げている問題に限っても、女性、子ども、高齢者、障害者、外国人、性同一性障害のある人々、同性愛者に対して、公人として不適切な発言を行ってきています。

石原知事の個人的感情が、そのまま政策理念へ影響を与えたり、都の政策の実施を硬直化させないか危惧します。知事という立場にある者が、マイノリティに対する思慮を欠いた考えを公言することにより、人権施策の理念に水をさし、結果、人権啓発活動に対する無理解や人権施策の後退を生むなどの影響が出ることが懸念されます。さらに、このような発言は、マイノリティを公然と見下すことを正当化する風潮を生み、侮蔑や中傷にさらされたり、場合によっては、生活への支障や生命の危険すら生じさせるのではないかと、マイノリティ当事者に不安や恐怖心を覚えさせ得るものです。又、都青少年条例についても、石原知事の発言を奇貨として、恣意的な法文解釈により、同条例第三条の留意規定にも関わらず規制範囲の拡大が行われるのではないかとの疑念すら生じさせます。

東京都が実施する人権施策は、人権思想の普及に役立ち、かつ個人の尊厳を確保する人権保障制度としての実効性をあげることが肝要です。東京都には、事実に基づかない発言や個人の好悪の感情に左右されない人権施策を推進することを求めるとともに、政策判断に関与する公職者は、人権問題に深く思いを致した上で、発言をされることを望むものです。
以上


首都圏に居住するアイヌ民族 レラの会 会長 長谷川修
ℓ女性会議東京都本部 布施由女・清水恵
NPO法人動くゲイとレズビアンの会(アカー) 代表理事 永田雅司
在日韓国民主統一連合東京本部 梁炳龍
在日韓国民主女性会 申久江
在日韓国青年同盟東京本部 徐崇
在日本朝鮮人東京人権協会 金東鶴
移住労働者と連帯する全国ネットワーク 事務局長 鳥井一平
全国障害者解放運動連絡会議関東ブロック 事務局長 八柳卓司
障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連) 太田修平
障害児を普通学校へ全国連絡会 事務局長 千田好夫
NPO法人自立生活センター・立川 奥山葉月
NPO法人自立生活センター・HANDS世田谷 理事長 横山晃久
全国「精神病」者集団 山本真理
全国ピアサポートネットワーク 世話人 加藤真規子
NPO法人新宿ホームレス支援機構 安江鈴子
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長 稲葉剛
部落解放同盟東京都連合会 書記長 鈴木信孝
社団法人東京自治研究センター 伊藤久雄
なくそう戸籍と婚外子差別・交流会 菅原和之
ハンセン病首都圏市民の会 森元美代治・須賀力
恵泉女学園大学教授・市民外交センター代表 上村英明
東洋大学ライフデザイン学部/人間環境デザイン学科 教授 内田雄造
専修大学文学部教授 鐘ヶ江晴彦