FAQ(よくある質問)

その1.   ネット名誉棄損
その2.   HIV無断検査
その3.   貸したお金が返ってこない
その4.   パートナーに財産を残す方法(遺言編)
その5.   外国人パートナーの在留資格
その6.   HIV感染と生命保険
その7.   不動産の共有
その8.   未成年者との性行為
その9.   パートナーとの別れ
その10.   任意後見人
その11.   性同一性障害(GID)と職場 
その12.   同性カップルとDV防止法 
その13.   医療同意権 
その14.   事実実験公正証書によるパートナーシップ宣言 
その15.   PACSと共同生活契約 
その16.   リベンジポルノ 
その17.   性同一性障害(FtM)と父子関係 




FAQその1  ネット名誉棄損

<質問>
私は、「○○○」のハンドルネームでブログをやっていますが、某巨大掲示板やSNSのサイト内で、私のことを指して「『○○○』は、乱パを主宰して、違法なセックスドラッグを売りさばいてる」などと事実無根の誹謗中傷をする人がいます。何とか、相手をつきとめて名誉棄損などで訴えたいのですが、どのような方法がありますか。

<アドバイス>
相手方の発言が名誉毀損等の不法行為にあたる場合には,プロバイダや掲示板の管理者等に発言者の氏名や住所の開示を求め,その情報を元に発言者に損害の賠償を求めることができます。

あなたをインターネット上で誹謗中傷した相手をつきとめる方法として,プロバイダや掲示板の管理者等に,その発言をした者の氏名や住所の開示を求めることが考えられます。ただし,この方法は,名誉棄損等の「その発言によって権利が侵害されたことが明らかな場合」にのみに限定されていますので,相手の発言があなたに対する権利侵害といえる場合にのみ可能です。
まず,このケースでは、「あなたの名(現実社会での名前)」ではなく「ハンドルネーム(仮想空間での名前)」を指しての誹謗中傷であることに注意が必要です。
他の書き込み等から「○○○」があなたのことだと識別できる場合には,ハンドルネームを指しての誹謗中傷でも,あなた自身の社会的評価が低下するので,あなたに対する名誉棄損となり得ます。
しかし,「○○○」があなたのことだと識別できない場合は,ハンドルネームを指して誹謗中傷があっても,(現実社会の)あなた自身の社会的評価が低下することはありませんから,あなたに対する名誉棄損とは言えません。このような場合に,あなたに対する何らかの権利侵害となるかは,難しい問題です。 また,「○○○」があなたのことだと識別できる場合にも,発言のあった経緯や前後の文脈,あなたからの反論等の具体的な事情にも注意が必要です。

実際に発信者を特定するためには,発信者情報の開示請求を複数回行う必要がある場合があります。また,発信者情報の開示を受けるためにプロバイダ等を相手にした裁判が必要になる場合もあり,発信者の特定には時間がかかる可能性があります。ところが,プロバイダ等には発信者情報の保有期間が定められているわけではないので,発信者情報の保有期間は短いことが多いようです。そのため,発言者を特定するためにはできるだけ速やかに行動を起こすことが重要です。

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FAQその2 HIV無断検査

<質問>
ある会社から採用内定通知をもらいました。実際に勤務に就く前に健康診断を受けてほしいとの事だったので、会社の指示に従い、健康診断を受けたところ、就業数日前になって、「あなたがHIVに感染していることが分かった。当社の業務の性質上、問題があるので、内定を取り消します。」と言われました。このようなことができるのでしょうか。
<アドバイス>
明らかに違法です。

HIV感染については一切の就業制限がありませんし、法律上、雇用主に義務づけられている健康診断の検査項目にも入っていません。又、無断でHIV検査が行われた場合、それ自体違法行為です(※)。このような会社に就職しないとしても、不法行為による損害賠償と慰謝料の請求くらいはしてもよいのではないでしょうか。
内定は、解雇権留保付労働契約(30日以上前の解雇予告を必要としない労働契約の一種)と考えられていますが、採用内定通知が発信された段階で、労働契約が成立していると捉えられていますので、内定取り消しをするためには、客観的に合理的であって社会通念上相当とされる理由が必要となります。HIV感染には、内定を取り消すべき合理性も相当性もありませんから、内定取り消しは無効(法律的効果が最初からないこと)となり、契約上の地位の確認や賃金の請求をすることができます。

※雇用主は、一般的には、労働者に対する健康配慮をする義務がありますが、HIV感染の有無については、通常、雇用主が知る必要のない情報であるとした裁判例として、千葉地裁H12.6.12判決、東京地裁H15.5.28判決(警察学校の事例)などがあります。
アカーに相談があった例では、HIV無断検査をされ不当な退職勧奨や配転を受けた例があります(いずれも訴訟になり勝訴的和解により解決)。


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FAQその3 貸したお金が返ってこない

<質問>
ネットで知り合った相手と付き合うことになりました。相手から、先日、交通事故を起こし、物損だけなのだが、ぶつけた車が結構な外車で、200万円の損害賠償を請求されている。100万は何とか用意したのだが、足りない分を貸して欲しい、必ず返すからといわれ、預金をおろして100万円を貸しました。その日は、次に会う日を約束して別れたのですが、約束の日に彼は来ず、携帯電話やメールも繋がらなくなってしまいました。

金は、返してもらいたいのですが、どうしたらよいでしょうか。

<アドバイス>

相手の本名と住所を突きとめて貸し金を請求しましょう。

お金の貸し借り(金銭消費貸借)は、借りたお金を返すことを約束して金銭を受け取ることによって成立します。法律上は、口約束でも契約は成立しますが、いつ、誰が誰に対していくらのお金を貸し、いつどのようにお金を返すのかを文書に残しておくことが後々の争いを防ぐことになります。
文書を作っていない場合、あなたと相手との間で、話された内容に基づいて(メールなどが残っていればその内容も参照して)、あなたが貸した金額・時期、相手が返すと約束したこと、返済方法等を特定して、文書で相手にお金を返す請求をしてみましょう。請求する際には、内容証明郵便によることが望ましいでしょう。

相手が、あなたの請求を認めれば、お金を返す方法や時期についてあらためて文書にして、約束通りに返済をさせるようにします。又、相手がお金を借りたことを認めなかったり、一切反応してこないとなれば、訴訟も考えなければなりませんが、あなたと相手との間に金銭消費貸借契約が成立し、相手がお金を返していないことを証明する証拠がどのくらいあるか十分に検討しなければなりません。

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FAQその4 パートナーに財産を残す方法(遺言編)

(1)遺言と相続
<質問>
私は、20年来の付き合いであるパートナーと私が所有するマンションで暮らしています。将来、私が、パートナーより先に死んでしまった場合、マンションをパートナーの所有にして、パートナーが住むところに困らないようにしたいのですが、どのような方法があるでしょうか。
<アドバイス>

自らの死後に、マンションをパートナーの所有とする方法としては、遺言書を作成するという方法が考えられます。

あなたが亡くなると同時に相続が発生します。この場合、遺言書がなければ、あなたの財産は法定相続人がその相続分に応じて取得することになります。法定相続人とは、配偶者、子(子が既に亡くなっている場合はその子etc)、親・祖父母、兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合にはその子(甥、姪)まで)のことをいいます。

同性のパートナーである場合には、パートナーという状態だけでは法定相続分はありませんので、遺言書を作成し、生きている間に「この人に財産を残してください」という意思表示を明確にしておくことがとても重要です。

遺言書については、まずは「(2)遺言書の種類」をご覧下さい。
また、全財産をパートナーに残すことができない場合もありますので、この点については「(4)遺留分について」をご覧下さい。


(2)遺言書の種類
<質問>
遺言書にはどういった種類のものがあるのでしょうか。
<アドバイス>

遺言書には、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言があります。

公正証書遺言とは、公証役場で証人2名の立会いの下、公証人が作成する遺言です。メリットとしては、公証人に証明してもらうことができるので、無効になるおそれが小さいこと、相続人等に偽造・変造されるおそれが小さいこと、家庭裁判所の検認が不要であることが挙げられます。デメリットとしては、費用がかかること、公証してもらうに際して証人が必要となること等が挙げられます。

自筆証書遺言とは、遺言者自らが自筆で作成する遺言です。メリットとしては、極めて簡便で費用もかからないことが挙げられます。デメリットとしては、偽造や変造されるおそれがあること、記載が正確でないと形式的な要件違反によって遺言が無効になってしまうこと、家庭裁判所の検認が必要であること等が挙げられます。 秘密証書遺言とは、文書は自分で作成した上で、封緘を公証行為として行うものです。メリットとしては、秘密性が高いことが挙げられます。デメリットとしては、家庭裁判所の検認が必要であること等が挙げられます。

パートナーに財産を残すという遺言は、法定の相続人でない人に財産を残すということですから、パートナーと法定相続人との間でトラブルが生じることも考えられます。


(3)公正証書遺言の作り方
<質問>
公正証書遺言はどのようにして作成すればよいのでしょうか。
<アドバイス>

公正証書遺言を作成するためには公証役場というところに行く必要があります。作成には、相続財産の価額に応じた費用がかかります。

公証役場に行く前に、財産目録を作成しておくとスムーズに行くでしょう。

なお、公正証書遺言を作成するためには、証人2名が必要になります。相続人は証人になれないため、他の人にお願いしておく必要があります。

又、公正証書遺言の場合、公証役場に原本が保存されているので、遺言の保管場所が分からない場合や遺言があるかどうか分からない場合に、公証役場で遺言の有無を照会したり、その正本や謄本を交付してもらうことができる点でも自筆遺言証書などより安心できます。


(4)遺留分について
<質問>
遺言書によっても、全財産をパートナーに残せない場合があると聞いたのですが、それは具体的にどういう場合なのでしょうか。
<アドバイス>

はじめに述べたように、遺言書を作成すれば、パートナーに財産を残すことができるようになりますが、全財産をパートナーに残すことはできない場合があります。 それは「遺留分」という制度があるからです。

遺留分とは、配偶者、子、父母・祖父母等直系尊属に保障された最低限の取り分のことです。

兄弟姉妹には遺留分はないので、法定相続人が兄弟姉妹だけの場合は、遺言書によって全財産をパートナーに残すことができます。
遺言書を作成するときには、パートナーと法定相続人との間でトラブルが生じないよう、遺留分を侵害しないよう注意する必要があります。


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FAQその5 外国人パートナーの在留資格

<質問>
私(日本人)には、外国人のパートナーがいます。パートナーと私は某国でCivil Unionを結んでいますが、パートナーと日本に住むことになった場合、パートナーは,「日本人の配偶者等」の資格で日本に滞在できるでしょうか。
<アドバイス>

できません。

出入国管理及び難民認定法で在留資格が認められる「日本人の配偶者等」とは、日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者をいいます。本件の場合、パートナーが日本人の配偶者に含まれるかが問題となります。

そして、「日本人の配偶者」は、男女間の婚姻によって配偶者の資格を持つ者と解釈されています。ここでいう婚姻は、日本の法律上有効に存続しており、かつ、真正なものであることが必要です。

したがって、同性間であれ異性間であれ、事実上の配偶者や婚姻以外の法的関係(外国のCivil Unionも含まれます。)によって共同生活者となっている者は、在留資格としての配偶者には含まれません。

また、日本においては、婚姻とは、両性の合意に基づいて成立するものとされていますから、外国において有効に認められた同性婚をしていたとしても、「日本人の配偶者」には含まれません。

したがって、あなたがパートナーと日本で暮らす場合には、それぞれの事情に合わせて適切な在留資格を得ることが必要です。どのようにパートナーと生活をしていくか、よく話し合い準備をしておきましょう。

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FAQその6 HIV感染と生命保険

<質問>
HIV検査を受けたところ、HIV陽性であることを告げられ、病院に行きました。今後のことも考えて、生命保険に加入しようと思っていますが、何か注意することはありますか。
<アドバイス>

保険商品について内容をよく検討しましょう。

まず、何を目的として、保険に入るのか良く検討しましょう。必要としているのは、医療保障でしょうか。それとも、死亡保障でしょうか。
医療保障の場合、日本では各種の社会保険制度によって様々な手当がなされていますので、本当に必要な保障かどうかまず検討しましょう。
死亡保障の場合、誰にどの位の保険金を残したいのか検討しましょう。死亡保険金の受取人については、かなり厳しい誓約を設けている保険がほとんどです(配偶者、二親等以内の親族に限る等)。同性のパートナーを保険金の受取人にしたい人は、その人が、受取人として認められるか否か保険の内容を良く確認しましょう。

また、保険によっては、契約前に、いくつか告知すべき事項や医師による診断を受ける必要がある商品があります。告知すべき内容は、保険商品によって異なります。告知すべき事項について、黙っていたり虚偽の告知をしたりすると、実際に保険金請求出来る事態になった場合でも、告知義務違反を理由に保険金を受け取れない場合があります。告知事項がある場合は、HIV感染について告知事項に含まれているかどうかよく商品説明を読んで確認しましょう(※)。

現在は、HIVに感染したとしても発症させない治療方法が発達してきていますし、今後も治療方法の進展が見込まれています。HIVに感染したからといって、すぐにエイズを発症し死亡するとはいえないのです。 したがって、長期間保険を支払い続ける意味があるのかどうかもよく考えましょう。

※現在、HIV感染が告知事項に含まれていない保険商品も存在しますので、詳しくはお電話ください。

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FAQその7 不動産の共有

<質問>
3年ほどつき合っている同性のパートナーと、一戸建ての家を買い、一緒に暮らそうという話しをしています。費用は折半で、2分の1ずつの共有にしたいと思っています。何か気をつけることはあるでしょうか。
<アドバイス>

家を二人で買い、共有にすることは法的には何ら問題はありません。但し、住宅ローンを利用する場合には注意が必要です。

必ずというわけではありませんが、金融機関及び保証会社(以下「金融機関等」といいます。)は、そもそも住宅ローンを連帯債務の形態で組むことを認めない傾向にあります。これは法的に夫婦として認められている場合でも同様です。

また、連帯債務によるローンを認めている金融機関等であっても、法的な親族関係にない(複数の)人たち間で連帯債務とすることを認めない傾向にあります。このような場合、二人が事実上の婚姻関係といえる共同生活者であること、二人に十分な資力があること、二人を連帯債務者にしておいた方が取りはぐれのリスクが減ることなど、説明し説得を試みることも考えられますが、なかなか困難なものと思われます。相手がどうしても、説得を受け入れず、やむを得ずどちらかの名義でローン契約等をした場合は、返済金に関して二人の間で契約を交わしておくことをお勧めします。又、登記上の所有者の名義変更は可能です(売買、贈与、真正な登記名義の回復などを理由とする所有権一部移転登記)。不動産については、登記をしておかないと、第三者に対して権利を主張できませんから、(担保権者などとの契約にもよりますが)実態に合わせて、登記を変更することをお勧めします。

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FAQその8 未成年者との性行為

<質問>
ゲイ向け出会い系サイトで知り合った未成年者と意気投合して、セックスをしてしまったのですが、法的に問題になることはありますか。
<アドバイス>

セックスの相手が、18歳以上であれば、お互いの合意の上での行為であれば法的には問題になりません。

未成年者との性的行為が法的に問題になる場合は、以下のような場合があります。


①13歳未満の者との性的行為は、たとえ合意があっても、強制わいせつになります(刑法176条)
②18歳未満の者との間で、合意があっても、金銭等の支払いをしたり、それを与えることを約束して性的行為をすると児童買春になります(児童買春、児童ポルノ禁止法4条等※1)
③18歳未満の者との間で、合意があっても、「みだらな性的行為」(淫行)※2をおこなうと一般に都道府県等の青少年保護条例に違反します※3。

なお、出会い系サイト等で18歳未満の者に性的行為を誘う行為の禁止は、法律※4上は、異性間における場合の規制ですが、同性愛者向けのサイト等でも、18歳未満の者に対して性的行為を誘うことは利用規約違反としていることが一般的です。


※1:正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護に関する法律

※2:淫行の意味につき最大判S60.10.23【S57(あ)621】

『(福岡県青少年保護育成条例一〇条一項の規定にいう)「淫行」とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解すべきである。』
なお、この判例は、ある程度の期間「交際」があったカップルの間の性行為について「淫行」であると認めたものです。「結婚を前提としない」ような「真剣でない」交際であるとされれば、たとえ双方に一応の恋愛感情があると認められるような場合であっても条例違反と評価される可能性があり、判断の基準が必ずしも明確ではないことには注意する必要があります。


※3:その他、「事実上の影響力」を及ぼして18歳未満の者に淫行をさせた場合(自分に対してさせる場合も含みます)、児童淫行罪(児童福祉法34条1項6号)の成立も考えられますが、ここにいう「事実上の影響力」とは、親族関係や師弟関係など特別な影響力を行使できる人的関係を背景にしたものと解されているので、今回のケースでは考えにくいでしょう。

※4:正式名称:インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律

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FAQその9 パートナーとの別れ

<質問>
5年ほど同居して共同生活をしてきた同性のパートナーから別れ話を切り出されました。どうやら、別に好きな人ができたようなのですが、隠れて浮気をした上に、自分の都合だけで別れようという態度に納得がいきません。損害賠償請求とかできないものでしょうか。
<アドバイス>

パートナー関係の不当破棄を理由とした損害賠償請求は、相当に難しいと言わざるを得ません。

この点、異性間において内縁関係(婚姻の社会的実態はあるが婚姻届の出されていない男女間の関係)にあると認められる場合には、法律上も婚姻関係に準じるものとして扱われ、これを不当に破棄することは不法行為となり損害賠償責任が発生することになります。
もっとも、異性間であっても、同居して共同生活を営む意思はあるけれど法律に縛られたくないなどの理由で婚姻届を提出していないパートナー間(いわゆる事実婚)にあっては、法律婚に近づけるべきではないとして、不当破棄に対する保護が認められないこともあります。

同性間のパートナーの場合には、いかにお互いに婚姻に準じるような共同生活を送る意思があったとしても、現在の日本の法律で同性婚が認められていない以上、残念ながら法律上婚姻関係に準じるものとして扱われることはなく、不当破棄に対する保護が認められる可能性は相当に難しいものと言わざるを得ないのです。
実際、日本では、同性間のパートナーに内縁関係と同様の保護が与えられたケースはありません。

但し、共同生活をなさっていた間に、お二人の間には、様々な取り決めがあったと思いますので、その契約内容によっては、お二人の共有財産の分割、貸借関係の清算をする必要がある場合があります。又、損害賠償とはいわずとも、あなたが別れた後の生活に困るようであれば、当座の生活に必要な金銭的援助をするように相手と話し合いをすることは可能かもしれません。パートナー関係は、人それぞれですので、どのようなことが請求できるか、一概にはいえませんので、もし、疑問に思われていることなどがありましたら一度ご相談下さい。

なお、相手に対してつきまとい行為をしたり、アウティングをするなどと相手を脅す行為は、ストーカー規制法違反、刑法上の脅迫罪に該当します。また、逆に相手から損害賠償請求をされるかもしれません。このような行為は問題解決に役立たないばかりか、かえってあなたを不利な状況に追い詰めることになりますので、絶対になさらないで下さい。

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FAQその10 任意後見人

<質問>
認知症などになったときに、後見人をつけて、財産を管理する制度があると聞きました。どのような制度かおしえてください。また、できれば、後見人は(同性の)パートナーになってもらいたいのですが可能でしょうか。
<アドバイス>

【後見制度の概要】
認知症などで判断能力が衰え、契約などの法律行為を自分自身で行うことが困難な人の判断能力を補うための制度が「後見制度」です。後見制度には、「任意後見制度」(任意後見契約法)と「法定後見制度」(民法)があります。同性のパートナーに「後見人」になってもらいたいということであれば、「任意後見制度」を利用することが考えられます。

【任意後見制度】
①制度の概要
任意後見制度は、将来、財産管理や療養看護に関する事務を、あなたの信頼する人に引き受けてもらう制度です。この制度を利用するには、自分の判断能力が衰える前に、後見人になってもらいたい人(「任意後見受任者」)との間で、「契約」をすることが必要です。
この契約の受任者の資格には、何ら制限はありませんので、同性のパートナーにも任意後見受任者となってもらうことが可能です(なお、任意後見受任者は、裁判所が選任した任意後見監督人による監督は受けることとなります)。

②後見人の役割
任意後見契約によって委任される事務は、原則として、預貯金や証券などの管理・払い戻し、財産の処分、遺産分割、賃貸借契約の締結など財産権に関する法律行為に加え、介護契約、医療契約等の身上監護に関する法律行為に限られます。食事や掃除など身の回りの世話などをするといった事実行為のみの委任は、任意後見契約とはなりません。
また、医療同意権を委任事項に加えることはできません。しかし、公正証書の付言事項として加えれば、医療同意が必要となった時点で、医師に、本人の判断能力を失う前の希望を伝えることができます。

③手続き
まず、後見人となってほしい同性のパートナーと任意後見契約を締結します。これは、必ず公正証書で締結する必要があります。その後、本人の判断能力が衰え後見開始の必要が生じたときには、当該パートナーや親族などが原則として本人の同意を得て、家庭裁判所に対して、任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」選任の申立をします。これに対して家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、そのときから任意後見受任者は「任意後見人」として仕事を開始することになります。

任意後見契約には、いつから任意後見受任者に事務をまかせるか等、制度設計にも様々なバリエーションがありますので、実際に利用される際には、弁護士等の専門家に事前にご相談ください。

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FAQその11 性同一性障害(GID)と職場

<質問>
私は、MTF/TSで、性同一性障害(GID)との診断を受けました。手術はまだ受けていません。現在は、男性の恰好で勤務していますが、できるだけ早く、本来の自分の性別に合わせた恰好で勤務したいと思っています。職場にその旨を告げた場合、職場では、それを禁止したり、制限を加えたりすることができるのでしょうか。
<アドバイス>

会社側は、企業秩序維持のために、従業員に対し、一定の服装を禁止したり、制限を加える旨の規程を設けたり、業務命令を発したりすることができます。

しかし、診断書を提出して性同一性障害(GID)について理解を求めたのにも関わらず、会社側が、女性の格好で勤務することを禁止した場合、その命令に反しても、そのことを理由に会社側が懲戒解雇することは、基本的にはできないと考えてよいでしょう。

なぜならば、会社側が一定の服装の禁止や、制限を加えることができるといっても、全くの無制限と言うわけではなく、仕事をする上で、必要かつ合理的なものである必要があるからです。労働契約法16条では、解雇について、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とすると定めています。したがって、懲戒処分も、合理性及び相当性を欠けば無効となるのです。

裁判例において、今まで男性の容姿で就労してきた性同一性障害(GID)の方に対し、会社側が女性の容姿をして就労しないよう服務命令を出し、それに反して女性の容姿をして出社したことなどを理由に、会社側が懲戒解雇した事案において、懲戒解雇を権利の濫用であり無効としたものがあります(東京地裁判決平成14年6月20日)。

この裁判例は、手術を受けたか否かではなく性同一性障害(GID)の診断書の内容を重視していますので、手術を受けていない相談者の方の場合でも、性同一性障害(GID)である旨の診断書を会社に提出していれば、同じように判断されると考えられます。

したがって、診断書を提出して、会社側に理解を求めたのにも関わらず、女性の容姿で仕事をすることを禁止されても、それに反したことを理由に懲戒処分された場合は、その懲戒処分は合理性及び相当性を欠き無効であり、むしろ会社側に不法行為責任を追及しうる可能性もあると考えてよいでしょう。

ただし、さきほどの裁判例は、当面の混乱を避けるために会社側が女性の容姿をして就労しないよう求めた服務命令そのものは一応理由がある、としています。そうすると、本件服務命令違反を理由としてより軽微な懲戒処分を行った場合には、処分が有効と判断される可能性がなお残されています。

とはいえ、現在では、先ほどの裁判例が出された平成14年当時よりも、性同一性障害(GID)への理解は広がっているところでありますので、診断書まで提出して理解を求めていれば、服装の制限に合理性も相当性もあると判断される可能性は低いと思われます。

職場の周りの方など社内の関係や、また、社内のみならず仕事上の取引先など社外の方との関係でもスムーズに行くように、会社側と相談しながら、連携をとって、より良い環境を作るように話を進めていくことが大事です。

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FAQその12 同性カップルとDV防止法

<質問>
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)が改正され、一緒に暮らしている交際中の人たちにも適用されることになったと聞きました。この法律の保護は、同性間の同居カップルにも適用されるのでしょうか。
<アドバイス>

1.ドメスティックバイオレンス(DV)については、「外部からの発見・介入が困難であり、かつ、継続的になりやすい」という危険性に鑑み、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)によって特別の保護手続きが定められています。この法律が適用される場合、警察に防止措置を執るように求めることができますし、身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けている場合で、その危害を受ける恐れが大きいとき等、一定の場合には、裁判所に対し保護命令を出してもらい、身辺へのつきまといや住居、勤務先等の付近をはいかいすることを禁止する(=接近禁止命令)等の保護を受けることも可能です(違反の場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

2.DV防止法は、第1条で法律上の保護の対象となる「被害者」について「配偶者からの暴力」を受けたものに限ると規定しています。この場合の配偶者とは、法律上の婚姻関係にある場合だけでなく、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を含むものとされていますので、従前は、同性のカップルについてこの要件に該当するかどうかが問題となってきました。
これについては、地方裁判所において、同性カップルであっても事実上の婚姻関係にあると認定し、保護命令を出した事例が報道されています(女性カップルについての事例)。同性のカップルであっても、上述のようなDVの危険性から特別の保護を定めた同法の趣旨にかんがみれば、当然、同法の保護を受けられるべきものと理解されます。

3.平成26年1月3日より、「生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係にある相手」からの暴力も配偶者からの暴力と同様の保護を与える改正法が施行されています。この改正が同性カップルに適用されるものであるのかという点について、政府は明確な見解を出していませんが、改正法の趣旨は、婚姻意思及び婚姻届がない場合であっても、前述の危険性が存在するような共同生活関係を持つ場合には、同法の適用が必要であることを前提とし、その範囲を明確にしたものと説明されていますので、一定の期間の同居や生計を共にするなどの事情が認められれば、同性のカップルに適用されないとする理由はないものと思われます。

4.なお、保護命令の申立てをするためには、配偶者暴力相談支援センター又は警察へ相談し、又は、援助若しくは保護を求める等の事前の手続きが必要です。保護を求める必要があると感じられた場合には、専門家へとご相談ください。

参考
http://www.gender.go.jp/e-vaw/law/dv2507pdf/dv05.pdf

(男女共同参画局 改正法Q&A)

http://subsite.icu.ac.jp/cgs/pdf/jnl05kitanaka.pdf

(北仲千里広島大学准教授“「あらゆる性別を包括するドメスティック・バイオレンス政策への課題」(フィールド・レポート)”, 『ジェンダー& セクシュアリティ』国際基督教大学ジェンダー研究センター, 05, pp.95-108, 2010年3月.)

#配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所のみ)に,同性カップル間のDVに対する保護事例についてのアンケートを取ったもの



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FAQその13 医療同意権

<質問>
自分が怪我や病気で入院をして、自分の意志を告げられなくなったとき、状態や症状、治療方針などについて説明を受け、どのような治療をするか、あるいは、治療を打ち切るかどうかを判断する権限を(同性の)パートナーに与えたいと思います。どのような方法があるのでしょうか。
<アドバイス>

まず、医療行為における決定権については、患者本人の同意が原則です。

では、患者本人の同意が得ることができない場合にはどうなるのかというと、多くの医療機関において、家族の同意を得て医療行為を行っています。ただし、家族というくくりだけで、法的な同意権限を有するということではなく、医療現場における実務の運用として認められているものと解されています。すなわち、治療行為後のトラブル回避の実践的な方法として取り入れられているに過ぎません。

そのため、各医療機関によって統一された運用がなされているというものではありません。

現在、医療行為に対する同意権限の第一順位を家族、親族とする医療機関が多いようですが、家族がいない又は家族の同意が得られない場合には、例えば内縁の妻や内縁の夫の同意で足りるという運用を行っているところもあります。ただし、内縁の場合には、患者の勤務先の上司又は同僚などの同意を得るなど複数の同意をとることとしているようです。

したがって、現状においては、法的に患者本人以外に同意権限を与えることは困難ですが、医療機関によっては、同性のパートナーの場合であっても、他の親族などと一緒に、複数の人から同意を得るという形で医療行為の同意を得て医療行為を行う(打ち切る)ということはあり得ると思われます。

さらに、パートナーに同意権を与える旨の公正証書を作成しておけば、医療現場においてパートナーの同意というものが、より無視できないものになると考えられますので、万が一のときに備えて、パートナーに同意権を与える旨の公正証書を作成しておくことをお勧めします。

なお、パートナーが後見人であるという場合も考えられますが、後見人制度は、被後見人の財産管理のための制度であるため、手術などのように身体への侵襲をともなう医療行為への同意権限は認められていないと解されています。



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FAQその14 事実実験公正証書によるパートナーシップ宣言

<質問>
私たちは、同性パートナーです。2人の関係は、法的には認められていなくても結婚と同じ関係だと思っています。2人の関係を、公正証書という形で明らかにしておきたいと思うのですが、どのような方法があるでしょうか。
<アドバイス>

いくつかの方法がありますが、ここでは、事実実験公正証書によるパートナーシップ宣言について説明します。

  1. 2人がパートナーであるという事実を公証人が聞いて、その事実を記載した事実実験公正証書を作成することができます。例えば、「婚姻関係にある者たちと同様の真摯な関係にあることをお互いに確認します。」といった内容の文言を公正証書にすることになります。(※   【文例】 を参照ください。)
    公正証書とは、契約の成立や一定の事実を、公証人が実際に体験したり、当事者から聞いて、それに基づいて公証人が作成する書類のことです。
    事実実験公正証書を作成しておけば、公正証書の原本は公証役場に保存され、作成された公正証書は、公務員である公証人によって作成された公文書となります。
    公正証書は、裁判においても真正に作成された文書と推定されて証拠となり、書類を作成した当時2人がパートナーであったことを証明できる可能性が高まります。
    作成の際には運転免許証やパスポートなどの身分証明書と印鑑を持って公証役場に出向きます。費用は、作成にかかった時間1時間ごとに1万1000円です。


  2. 公正証書は、公証人が当事者から聞いた話に基づいて作成するので、公証役場で2人の関係を公証人に説明しなければなりません。
    公証人は、法令に反する事項や無効の法律行為について公正証書を作成できず(公証人法26条)、公正証書を作成する際に、その事実により影響を受ける権利関係に疑いがあるときは、関係人に注意をし、必要な説明をさせなければならないことになっています(公証人法施行規則13条2項)。これらの規定から、公証人から2人の関係について説明を求められたりすることもあります。
    2人の関係性についてうまく説明できない場合には、弁護士に相談して、あらかじめ公正証書の原案を作成し、公証人と事前に打ち合わせをした上で、公証役場に同行してもらうこともできます。

  3. 公正証書は、法律行為や権利を得たり失ったりしたことに関連することについて作成することが一般的です。例えば、お金を貸したとき等に利用されることが多く、公証人が同性パートナーシップに関する公正証書の作成経験がない可能性が高いと言えます。又、中には、同性パートナーに理解のない人もいるかもしれません。いきなり公証役場に行っても、公正証書を作成できないと断られる可能性もありますから、事前に、実際に公正証書を作成したことのある方に、どの公証人に作成してもらったかを聞いたり、弁護士に相談しておいた方がよいでしょう。

疑問や不安のある方は、お気軽に当会までご相談下さい。


【文例1】
私たち甲及び乙は、私たちの関係が現在の日本国の民法において婚姻関係として認められていない現状に鑑み、二人のパートナーシップは男女間で婚姻関係にある者たちと同様の真摯な関係であることを、たがいに宣言します。

【文例2】
私たち甲及び乙は、私たちの関係が、現在の日本国の民法において婚姻関係にある者たちと同様の真摯な関係であることを認め、たがいに、配偶者としての権利を有し義務を負うことを確認します。
(※以下のような記述を追加することも考えられます。)

第●条
私たち甲及び乙は、私たちの関係が前条に規定する通りの真摯な関係であることを、私たちの所在する全ての国及び地方団体の政府又は公共機関その他公私の団体並びに全ての人々に対し表明し、それらの団体や人において男女間の婚姻関係に向けられるべき敬意、尊重、法的な保護を、私たちの関係に対しても等しく向けていただけるように希望し、これを求めるものです。

第●条
私たち甲及び乙は、自らの身体的・精神的能力の低下による財産関係の処理の問題を、信頼する相手方に互いに委ねることとし、別途委任契約及び任意後見契約を締結することとします。

第●条
私たち甲及び乙は、自らの終末期の尊厳ある対処について宣言し、その伝達を互いに委ね、又、意思表明不能な場合の医療行為についての同意を互いに委ねることとし、別途尊厳死宣言及び医療同意に関する公正証書を作成することとします。

第●条
私たち甲及び乙は、この宣言で確認した関係の解消は、日本国の民法において離婚をする場合と同様の真摯な手続きおよび基準に従うことを確認します。



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FAQその15 PACSと共同生活契約

<質問>
フランスでは同性婚のほかに、PACS(民事連帯契約)と呼ばれる、共同生活をする同性パートナー間の生活を安定させ、保護するために活用できる制度があるそうですが、日本でもそのような契約を結ぶことは可能でしょうか。
<アドバイス>

PACS(Pacte civil de solidarité)とは、1999年にフランスで設けられた「同性又は異性の成人2名による、共同生活を営むために締結される契約」のことで、同性カップル、異性カップルを問わず、共同生活を営むカップルに、法的婚姻関係を結ぶカップルとほぼ同等の権利・義務を認める制度です。

具体的にいうと、PASC契約者には、税制上の優遇措置が認められるほか、遺言により相続をする権利、パートナーが死亡してしまったときに、そのパートナーの名義で賃借していた住居の賃貸借契約を引き継ぐ権利など、共同生活を守るために極めて重要な権利が与えられているのです。

しかし、残念ですが、現在の日本の法律では、PACSのような効力を有する契約を締結することはできません。

日本においても、共同生活を営むカップルが、契約によって、共同生活上のルールを決めておくことはできます。しかし、そのような契約の効力はカップル2人の間にしか及ばないため、カップルが税制上の優遇措置を受けられないのはもちろんこのと、住居の大家さんやパートナーの法定相続人などに対して契約の効力を主張することも当然にはできないのです。

例えば、AとBのカップルが、Aの賃借するマンションで共同生活をしているとします。この場合に、AとBが、契約で「Aが死亡したらBが賃借権を引き継ぐ」と定めておいたとしても、それだけでは、Aの死亡後に、Bがそのマンションに住み続けることはできません。マンションの大家さんの同意がなければ、Bへの賃借権の移転は認められませんし、あらかじめ適切な措置を講じておかないと、Aの死後、Aの法定相続人がAの有していた賃借権を相続してしまい、Bとの間に深刻なトラブルが発生する恐れもあるのです。(Bの生活を守るためには、マンションの大家さんとの賃貸借契約を締結し直して、Bも共同賃借人としておいてもらうとか、Bへの賃借権の譲渡を予め承認しておいてもらうなどの措置を講じておく必要があります。)

このように、現在の日本においては、PACSのような効果を求めようとすると複数の契約を結び、更には、法改正(税制上の優遇措置など)を求めるということになってしまいます。

しかし、それでもなお、2人の共同生活について契約を締結しておくことには、それなりの意義があると思われます。このような契約は、2人が真摯に交際している証であって、パートナーに安心感を与える効果があるほか、パートナーが死亡した場合にも、パートナーの生前の意思を明確にするために役に立ち、遺族との無用なトラブルを未然に防止する効果が見込まれ、その事実上の効力は決して小さなものではないと思われるからです。

パートナーとの法的な関係について、疑問や不安のある方は、お気軽に当会までご相談下さい。


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FAQその16 リベンジポルノ

<質問1>
リベンジポルノを規制する法律ができたと聞きました。どのような内容の法律なのでしょうか。
<アドバイス>

いわゆるリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)は、他人に見せるつもりで撮影したわけではない性的な画像・動画等を「私事性的画像記録」と定めて、そのような画像・動画等を公表したりすることを犯罪として処罰する法律です。

この法律では、「私事性的画像記録」とは、次の3つのうちどれかにあてはまる様子を撮影した記録であるとされています。

①人が性交(セックス)、または性交類似行為(フェラチオなど)をしている姿

②人が誰かの性器、肛門、乳首を触ったり触らせたりしていて、性的に興奮させるような姿

③一部分であっても服を脱いで性器やその周辺部、お尻、胸を目立たせ、性的に興奮させるような姿


このような内容を撮影した画像・動画を保存した記録媒体(USBメモリ、SDカード、パソコン、スマホなど)に入っている情報を「私事性的画像記録」、写真など物体として存在するものを「私事性的画像記録物」といいます。

これら「私事性的画像記録」等を、第三者が見て画像・動画等に映っている人が誰なのかがわかってしまうような方法で、不特定又は多数の人に提供・公然と陳列する行為(SNSで公開する、LINE、メーリングリスト、画像掲示板に流す、写真を路上でばらまくなど)について、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることがこの法律によって定められました。

なお、実際に公開等をする人が別の人であっても、公開等をさせる目的で「私事性的画像記録」等を誰かに提供した場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。

なお、実際に公開等をする人が別の人であっても、公開等をさせる目的で「私事性的画像記録」等を誰かに提供した場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑に処せられることがあります。
また、「私事性的画像記録」にあたりそうな画像がネット上に上げられたにもかかわらずサイト管理者がすぐに削除してくれないといった場合、被害者が削除申請をした上で、サイト管理者が情報発信者に対し削除に同意するか確認し、2日経過しても削除不同意の回答がなければ、サイト管理者はその画像を削除でき、後から情報発信者がサイト管理者を訴えてもサイト管理者は賠償責任を負わない、ということもこの法律で定められました。


<質問2>
リベンジポルノ防止法でもエッチな画像をばらまかれたのに犯人を処罰できない場合はあるのでしょうか。
<アドバイス>

リベンジポルノ防止法によってエッチな画像等を公開したりすることが全て処罰されるわけではありません。

例えば、最初から第三者に見られることを想定して撮影されているもの(AV、グラビア写真など)は対象外です。

また、第三者が見て画像・動画等に映っている人が誰なのかがわかるようでないといけないので、被害者が自分で自分の画像だと確信を抱いても、はたから見て誰の画像かわからないような場合は対象外となる可能性があります。

公開する相手は「不特定又は多数」であることが要件となるので、特定の少数にメール送信したような場合も対象外です(不特定多数の者に提供させる、公然陳列させる目的がある場合は犯罪になります)。

そして、強姦罪や強制わいせつ罪のように、この法律に違反した人が実際にいたとしても、被害者が警察や検察に告訴しないと犯罪として処罰はされません(このような犯罪を「親告罪」といいます。)。

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FAQその17 性同一性障害(FtM)と父子関係

<質問>
私は性同一性障害者です。女性の身体を持って生まれましたが、戸籍上の性別を男性に変更し、結婚をしました。そろそろ子どもが欲しいね、と夫婦で話をしています。人工授精で妻が出産したら、私はその子どもの父になれるのでしょうか?
<アドバイス>

性同一性障害者は戸籍上の性別を、生物学上の性別から自認する性別に変更することができ、異なる性別のパートナーと結婚できるようになりました (「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」2004年施行)。このようにして結婚した何組もの夫婦が、第三者からの精子提供を受けるなどして子どもをもうけ、家族を築いています。

ところが、長らく市町村役場の戸籍窓口では、性同一性障害者である夫と妻が出産した子を夫婦の子と認めてもらえず、子どもには父親がいない(=「非嫡出子」)という取り扱いになっていました。

このような取り扱いをされたある父親たちが、国を相手に、父子関係を認めるよう求める裁判を起こしました。原告側の主な主張は、生来の男女の夫婦が第三者から精子提供を受けて子どもを授かった場合には父子関係が認められるのに、性同一性障害者の場合には認めないという取扱いは不平等であるというものでした。

最高裁判所は原告の請求を認め、女性から男性に性別変更後婚姻をし、その妻が婚姻中に懐胎して出産した子は当該夫婦の嫡出子、すなわち父子関係を認めるという決定を出しました(2013年12月10日最高裁判所決定)。

この最高裁の決定を受けて、法務省が全国の市町村に通達を出し、戸籍実務を変更するように指示をしました。こうして、現在ではどこの市町村の窓口であっても、性同一性障害者である夫と妻が出産した子との間の父子関係を認めてもらえるようになっています。


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