Unforgettable〜忘れえない〜2002.02.11新木場

〜 Unforgettable 2000.02.11 〜

この日 ここで起きた 痛ましく 悲しい事件が 忘れさられることのないように

2 バック・トゥー・ザ「新木場事件」

1/事件の経緯――

 2000年2月11日・早朝、東京都江東区新木場駅前の「都立夢の島緑道公園」内で、若い男性が頭や顔から血を流して倒れているのをジョギング中の会社員が見つけ110番しました。
 その後、被害者は大田区に一人暮らしをする男性と判明、司法解剖の結果、頭部や顔面を鈍器のようなもので激しく殴られたことによる外傷性ショック、内臓破裂などが死因と判明しました。
 2月16日、江東区の区立中学3年の少年(14)と同区の都立高校1年の少年(15)の2人が強盗殺人の疑いで逮捕、同月19日、江東区東雲2、無職、中野大助(25)が強盗殺人容疑で逮捕されました。
 後に、彼らは、この公園に集る同性愛者をターゲットにして、1999年から常習的に暴行や脅迫を繰り返し、警察に被害届がなされたものだけでも十数件に及ぶことが分かっており、この事件はそれら一連の事件の最悪の結果であったことが分かりました。これらの事件に関与した少年たちは、逮捕された3名のほか、二十数名におよぶことが明らかになっています。

2/新木場での一連の事件――

 当会では、この事件の一年前の8月から11月末までの4カ月間、「ゲイバッシング情報ライン」を実施してきました。寄せられた相談の中に、「公園などの野外でのバッシング・嫌がらせ」に関する相談・通報は34件ありましたが、そのうち9件が新木場・夢の島周辺での被害でした。
 被害者の中には、警察に被害を届けでたものもありましたが、警察は公園での暴力被害に関心が薄く、被害届けを出してもまともに取り合ってくれないといったことがよくありました。また、同性愛者であることを知られることを恐れて、泣き寝入りせざるをえないという状況、同性愛者が「弱者」としてあえて暴力のターゲットにされている状況など、現在同性愛者が置かれている状況が折り重なって一連の事件が放置され、このような結果となったことが分かっています。

3/事件のその後――

 最終的に、夢の島一帯で多発した襲撃・暴行事件では、中野を含め7名が逮捕されましたが、そのうち少年六名は家庭裁判所に送致され、中野大助(25)被告だけが刑事裁判を受けていました。
 公判では、検察側・弁護側とも、犯人グループが「『ホモ狩り』に行こうぜ」と誘い合わせて夢の島一帯にくり出していたと説明、少年たちが公園に集まるゲイを狙って襲撃を繰り返していたことが明らかになりました。
 11月16日、中野被告の判決が、東京地方裁判所で言い渡されました。事件への被告の積極的な関わりを認め、懲役12年を宣告(検察側求刑は15年)。一方、犯人グループが事件におよんだ動機については、「通行人を襲って安易に小遣い銭を稼ぐため」の犯行であると述べるにとどまりました。
 事件に関係した6名の少年たちについては、殺人事件の主犯二名が強盗殺人罪で中等少年院に送致されるなどの処分が、4月の段階ですでに決まっていました。

4/残された問題――

 事件の刑事裁判は、犯人グループが起こした数十件にのぼる事件のうち、わずか二件をとりあげたにすぎず、犯人グループがおこした数十件の事件の被害者の方々の身体的・精神的損害を補償するものではありませんでした。
 また、判決では、犯人グループの動機は「こづかい銭かせぎ」とされており、犯人グループが『ホモは警察に届けない』から『ホモ狩り』に行こうという意志のもとに公園で暴力をほしいままにしたという事実にはふれられていません。少年たちへの家庭裁判所の決定も同様でした。判決や決定でふれられていない以上、犯人グループのこの同性愛者に対する認識はかわるとは思えず、殺人を犯した少年たちは、被害者の人格や尊厳を侵したことに対する反省の気持ちを養うこともないまま、数年後には社会に戻ってくることになります。その場合、少年たちがふたたび同じ犯罪に手を染めないとも限りません。この判決は、本来刑事司法手続が果たすべき役割である、再犯の防止や類似事件の再発防止といった観点から考えても、こころもとないものと言わざるを得ません。
 犯人グループが逮捕された後も、新木場では数件の暴力事件の報告がありました。当会のゲイバッシング情報ラインには、国内の各所から、同性愛者をターゲットにした犯罪の情報が入っています。「新木場事件」は、いまだ終わっていないのです。

5/その後の取り組み――

 当会では、その後も裁判や審判の記録、また警察の調書などの資料を調べ、事件の記録化につとめると同時に、事件の真相を解明するために公的機関への様々なロビー活動を行ってきています。また加害者らへは事件への認識を問い面会や文書でのやり取りなどもつづけてきました。そして、それらを共有し、同性愛者への暴力について、コミュニティで考えるための集いなども継続して開催してきました。
 コミュニティへの、特に野外での出会いの場における同性愛者の弱みにつけ込んだバッシング(暴力や嫌がらせ等)について、どのように対処すべきかの資料化や情報提供、アウトリーチなどにも取り組んできました。そして「ゲイバッシング情報ライン」は、実際に被害にあった当事者への、常設のサポート活動として継続して相談を行っています。
 事件から3年が経過しようとする現在、当時、少年院に送致された少年らの多くは既に出所し、社会にもどっています。
 当会では今も、被害を受けた方々への支援や加害者への責任の追及を継続するとともに、この事件から何も学ばぬまま忘れさらないように、そして類似事件の再発防止のために、積極的な取り組みをつづけています。


以下、この集いの案内時の案内文になります。
NPO法人アカーでは、このようなイベントを開催しています。機会がありましたら、ご参加下さい。


1 『GB新木場事件3ヶ年を考える集い』のご案内

みなさんへ

 ゲイバッシング(GB)・新木場事件から早くも3年が経とうとしています。
 2000年2月11日、東京都江東区新木場にある「夢の島緑道公園内」で、同性愛者を狙った暴力・殺害事件がおこりました。この事件は一般社会や各種メディアでも大きく報じられ、1週間後には犯人グループも逮捕されました。コミュニティ内でもホームページなどでは、事件現場への献花が有志によって呼びかけられ、当会でもこの呼びかけに賛同し一年に渡って献花をつづけながら、事件の真相解明や被害を受けた方々への支援などの取り組みをつづけてきました。

 事件からすでに3年が経過しようとする今日、一般社会やコミュニティでも、この事件や同性愛者に対する暴力事件に対しての風化やタブー化が一層進んでいます。他方、その後も絶えることなく、当会の行っているバッシング相談には、さまざまな事件の被害者となった同性愛者からの相談が寄せられ続けています。そして当時の新木場事件の被害者たちの取り組みは今もつづいてます。

 私たちはこの事件をコミュニティにおける「忘れえない」出来事として、これからも折にふれて振り返り、みなさんとともに考えていきたいと思っています。
 あの日から3年目をむかえる今年、事件のおきた2月11日、現場となった新木場でささやかな集いを行います。

 亡くなった被害者はもとより、未だに心身ともに深い傷を負いながら生活する被害者のことを考え、このような痛ましい事件を、二度とふたたび繰り返さないというおもいをあらたにしたいと思います。

 趣旨にご賛同をいただける全てのみなさんのご参加をお待ちしています。

2003年1月23日
NPO法人アカb 一同


< 記 >

【 GB新木場事件3ヶ年を考える集い 】

事件の現場となった公園で、現場への献花のほか1時間ほどのセレモニーを行います。

  日 時:2003年2月11日(祝火) 午後15時半〜16時半
  場 所:夢の島緑道公園(江東区・新木場)下地図参照
  交 通:JR京葉線/営団有楽町線「新木場駅」より徒歩5分
  参 加:無料

 場所は、新木場駅の北側に広がる「東京都立夢の島緑道公園」の入口からほんの少し入ったところです。
 新木場駅からガードをくぐって、国道357号線(湾岸道路)と首都高速湾岸線を越え、さらに明治通りを渡ると、すぐに入口があり、ちょっと進むとジョギングコース沿いにベンチなどがあります。その手前に梅の木があります。この木の周辺が事件の現場です。
 新木場駅は、東京都江東区にあり、地下鉄有楽町線で行くと有楽町駅から12分。京葉線で行くと東京駅から10分です。

【 交流会 】

上のセレモニーの後、会場をうつしてお食事会をしながら、事件後の近況報告などもかねて交流会を行います。

  日 時:同日 午後6〜8時
  場 所:新木場近隣/新木場では会場がないため電車での移動を予定しています
  参加費:実費2,000〜3,000円程度

【お願い】

お手数ですが、「交流会」にもご参加いただける予定の方は、会場の予約の都合上、2月8日(土)までにご一報いただけると幸いです。

お問合せ:NPO法人アカb

[TEL]03-3383-5556
[FAX]03-3229-7880
[e-mail]occur@kt.rim.or.jp